細胞レベルでの若返りが可能に

このたび、マウスを用いた実験で、細胞レベルでの若返りの実践が可能であることが明らかになった。幹細胞という、全身の細胞に分化し得る細胞を注射することでできる若返り方法のため、応用範囲が広いと考えられて今注目を集めている。

米国のペンシルバニア州にあるマクゴーワン再生医療研究所のジョニー・ユアールという研究者が発表したもので、マウスを老化しやすい環境で飼育し、かなりの高齢に達したところで若くて健康なマウスの幹細胞を注射すると、なんと平均寿命より3倍も長い期間生存していたという。この実験では、老化が急速に進行する難病を患ってしまう遺伝子的形質をわざと受け継がせたマウス(たった3週間で死亡してしまう!)を使って行った。すでに老化がはじまったマウスに、正常なマウスの幹細胞を注射したところ、なぜか死亡する予定日をすぎてもなかなか死なず、それどころか注射する前より生き生きとしたという(結局71日も生きていた)。

実験のヒントになったのは、3週間前後で死んでしまう遺伝子を受け継いだマウスたちの筋幹細胞を調べていたら、分化がなかなか進まない幹細胞が見かけられたことだ。つまり、細胞レベルで活力を失い、老化しているということになるが、「正常な若いマウスの幹細胞を注射したことが、若返りの原因ではないか」という推定が成り立つ。実験を進めた結果、幹細胞は老化してくると分化等の機能が衰えるが、その細胞としての欠陥は正常な幹細胞と接触することで補うことができるのではないかということがわかってきた。正常な幹細胞から何をもらっているのかはっきりしていないが、その正体を突き止めることができれば、人体への応用も実現できるかもしれない。

この研究がうまくいけば、「個人の幹細胞を若くて健康なうちに採取しておいて老後にそれを注射で体内に戻す」……という使い方もできるだろう。たとえば、アルツハイマー病や心血管疾患等の症状をとどめることに使えるチャンスがある。見た目の若さを取り戻すために使えるというわけではないが、アンチエイジングの概念は、「何歳になっても健康に暮らすこと」だろう。マウスの実験を繰り返していくうちに、高齢者に多い疾患の進行を妨げることに成功する日がくるのではないだろうか。

nature.com

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