東日本大震災の津波をくぐりぬけた世界最高齢の野鳥?

平成23年は、地震が引き起こした津波により東日本に多大な被害をもたらした年となった。津波は日本に被害をもたらしただけではなく、4000キロ離れた北西ハワイ諸島に位置するミッドウェイ環礁(サンド島、イースタン島、スピット島がある)のアホウドリ類の繁殖地にも被害(最大で高さ1.5メートルの津波)をもたらしてしまった。

この地はコアホウドリとクロアシアホウドリの繁殖地として有名で、最初にアメリカの地質調査所の職員により、調査がはじまったのが1956年である。そして2002年の調査で足輪のついたコアホウドリが見つかり、その記録から40年以上も生息していたことが判明し周囲を驚かせた(50歳を超えている計算になったためである)。そのコアホウドリは長年生き抜いてきた知力への敬意を評され、研究者たちから「ウィズダム(知恵・英知の意)」と呼ばれている。現在もっとも高齢の野鳥なのではないかという声もあり、世界的に注目を集めるている。

そのウィズダムが繁殖をまさにはじめようとしていた時に、今回の震災に見舞われてしまったのである。スピット島の全部、イースタン島の6割、サンド島の2割の海岸が津波にのみ込まれ、多くの卵や雛そして親鳥が海に流されてしまったのである。この津波でコアホウドリとクロアシアホウドリの雛が約11万羽、成鳥も2000羽が死亡したとみられている。

また、当初ウィズダムの安否も気遣われていて、震災発生から2~3日もしないうちにウィズダム母子が行方不明になっていることが世界中に伝えられている。その後捜索の手がはいり鳥たちが救出され、その中にウィズダムも子供ともども無事であることが確認され世界の研究者やファンを安心させた。FWS(米魚類野生生物局)のハワイ・太平洋諸島地域におけるプロジェクトリーダーであるBarry Stieglitz氏は驚きを込めて「ウィズダムはとてもラッキーなやつ」と報告している。

未曾有の津波の危機を乗り切ったことで、ウィズダムはますますカリスマ的な存在になったといえるかもしれない。これからももっと長生きをして繁殖を続けてほしいものである。

〈参考文献〉

ENN(Environmental News Network)

photo credit: David Patte/U.S. Fish and Wildlife Service

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