「きのこハウス」に住んでみませんか?

きのこハウスと言っても、きのこの形の家ではない。ブルックリンに拠点を置く、Planetary ONEは、きのこから、なんと建築資材を作り出す研究をしているというのだ。

柔らかいきのこが本当に建築資材になるのか。そこがこのプロジェクトの画期的な着眼点だ。
製造方法だが、まず、菌糸を四角の型の中に埋め込んで、そば殻などの農業廃棄物を与えて成長させる。80度の温度で1週間成長させると、菌糸は成長して型いっぱいに広がる。ブロック(Mycoform)が完成した時点で、100度以上(できれば200度)に加熱して、それ以上成長しないようにする。これを軽量で頑丈な建築用ブロックとして利用するというものだ。

ブロックの製造には、マンネンタケが適しているとのこと。確かに、マンネンタケは、固く、しっかりとしたきのこだ。そして、使い終わった資材は完全に生物による分解が可能である。

Mycoformブロックは日差し、カビ、水に耐えるようになっているが、生物分解性をもつことから長期の使用には適さない。これに対応するにはブロックをリサイクルしたアルミニウムシートで覆えば良いそうだ。使用済みのアルミ缶をシート状に切り開いたものでも大丈夫である。アルミニウムシートをあらかじめ型に入れて、この型に入れてブロックを作ってそのまま取り出した場合、25年ないし30年ほどにわたって利用できるようになるとのことである。また2000psiの圧力にも耐えることができ、従来のブロックと同様の強度をもつ。

従来のブロックを作るのにかかるコストの半分は、釜で焼いたり乾かしたりするコストである。また焼いて製造することから想像できるように、1ユニット製造するごとに最大で約454gの二酸化炭素を生み出してしまう。その点、ブロックの製造にはエネルギーもほとんど必要なく、また二酸化炭素も排出しない。コストも非常に低く、ユニット単価で1セント(約1円)もかからないほどだ。初期に必要なのは150ドル(現在のレートで、約12,000円)の水圧機とアルミニウム成形のために50ドル(約4,000円)の金型、プラスチックと木材で作ることができるマンネンタケの成長のための温室である。

製造にかかるエネルギーが低く、廃棄物が出ない、非常に環境にも良く、そのうえ安価なMycoformの可能性は期待できる。Planetary ONEは、今後もMycoformブロックの応用可能性を広げ、将来的にはMycoformキットを発展途上国向けに輸出したい考えだ。

湿った地域の多い日本でも長く使えるのかは不明だが、仮設住宅やイベントブースなどに使えそうだし、なにより、きのこ好きなら一度は住んでみたいと思うのでは?

■関連リンク

(堀博美/きのこライター 「きのこる キノコLOVE111」(山と渓谷社)執筆 http://spore.sblo.jp/)

Bookmark and Share

関連プロダクトクラウド