福島第1原発事故・栃木県民から「ちたけ」は奪われるのか

福島第1原発事故は、地域の食文化に思わぬ被害をもたらす可能性がある。

栃木県民は、図鑑にも書かれるほど、野生のきのこ「ちたけ」が大好きだ。ちたけとは、標準和名で「チチタケ」のことである。この味が栃木県民の間では熱狂的に好まれ、栃木県内では争うように採られてしまうので、福島まで遠征に行くとか。筆者も宇都宮で食べたことがあるが、きのこ自体の歯触りはぼそぼそとしているが、出汁の味は絶品だった。

しかし、このチチタケが、ひょっとすると今年から、栃木の人には食べられなくなってしまうかもしれない。書籍「キノコは安全な食品か」(小川真著・築地書館)によると、チチタケはチェルノブイリ原発事故の際、オーストリアやノルウェーで、チチタケの仲間に多くの放射性セシウムが含まれていることが研究で分かった、という。普通の食品に比べて、特異的に濃縮して、キノコの中に蓄積されていたとのことである。故に、福島や栃木の野生のチチタケに、健康上の不安がおおいに考えられる。きちんとした検査がなされるまでは、食べない方が良いであろう。

チチタケは中国から輸入出来るとも聞くので、ちたけが全く手に入らないということはないかもしれないが、山で採るのも楽しみのひとつである。これを機に、チチタケ文化はすたれてしまうのだろうか。それとも、放射能汚染の不安を抱えつつも、生きのこるのであろうか。

(堀博美/きのこライター 「きのこる キノコLOVE111」(山と渓谷社)執筆 http://spore.sblo.jp/)

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