タミフルによる未成年者の異常行動、その理由とは?-理研分子イメージング科学研究センター

タミフルは、未成年者に投与されると異常行動を引き起こすとして、一時社会問題にもなった抗インフルエンザ薬だ。しかし、2006年冬のインフルエンザによる異常行動の発生率に、タミフルを服用した患者とそうでない患者に差が見られないという厚生労働省の疫学調査や、1999年から2007年(9月15日)までに発生した異常行動の9割以上が日本におけるものだったというロッシュ社の報告などもあり、タミフルと異常行動の因果関係は、現在もはっきりとはしていない。

専門家が指摘する別の問題として、タミフルの脳血流関門透過率の低さがある。脳に入り込めないのだから、悪さをしようがないのではというわけだ。ただ、これについては、マウスなどの小動物を使った実験では検出限界近くの測定になることや、ヒトや大型動物では脳内濃度やその分布を直接測定できないなどの制約があった。そこで、理研分子イメージング科学研究センターの髙島忠之研究員らは、アカゲザルを使ったPET(陽電子放射断層画像撮影法)により、世界で初めて成人脳と幼児脳におけるタミフルの脳内移行性を詳細に比較した(理研によるプレスリリース)。

その結果、タミフルの脳への最大取り込み量、総取り込み量、総取り込み量の脳/血中比、取り込み速度のすべてにおいて、幼少期の脳が、成熟期の脳より、それぞれ、3.6-3.9倍、2.8-3.7倍、1.4-1.7倍、1.3倍上回っていることがわかった。この結果は、大人の脳よりも、子供の脳の方が、タミフルの影響を受け易いことを示唆しており、これが、タミフルによる未成年者に特異的な異常行動に関連しているかもしれないと髙島氏らは述べている。

この研究成果は、5月13日付けで『The Journal of Nuclear Medicine』のオンライン版(印刷版は6月1日号)に掲載された

(神無 久:サイエンスあれこれ

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