半導体で便利になぁれ!


ICカード、電卓、デジカメ、テレビ、携帯電話、自動ドア、クーラー、太陽電池、それから今みなさんが見ているこのパソコン・・・これらの共通点はいったいなんでしょうか?じつは、これらすべての製品には「半導体」が利用されているのです。みなさんも一度は耳にしたことのある名前だと思いますが、一体どうしてこれほどまでに利用されているのでしょうか?

エネルギーを電流の変化に

そもそもICカードからテレビや太陽電池までなんて、同じ部品を使う場所はあるのかと首をかしげた方もいると思います。では少し、これらの製品の使用方法を考えてみてください。テレビはコンセントにつないで電池を入れたリモコンでチャンネルを合わせますね。太陽電池は光に当てることで電気を発電します。ICカードも電子機器にかざすことで、支払いを行いますね。そう、どれも「電気」が関わっています。

じつは、半導体は光を当てたり圧力を加えたりすることで、「電流を変化させる」ことができる部品なのです。

どっちつかずでどっちにもなれる

半導体の中では、いったい何が起こっているのでしょうか。
物質はたくさんの原子が集まり、互いに電子を共有したり、分子の持つ電気的な力でくっついたりすることで結晶をかたち作っています。結晶の中で電子が自由に動く、つまり電流が流れることのできる物質を「導体」、電子が動けない、つまり電流も流れない物質を「絶縁体」といいます。そして半導体とは、この両者どちらにもなりえる性質を持っています。というのも、先ほどあげた光や圧力などによって半導体の中の電子を動かす、つまり電流を流すことができるのです。
何もしなければ絶縁体と一緒。でもエネルギーを加えることで導体と同じ働きをするようになる半導体。これはなんだか便利に使えそうな予感がしませんか?

実際、たとえばICカードであれば、電磁波のエネルギーでカードの中のコンピュータに電流を流します。太陽電池はみなさん知っての通り、光エネルギーを電気エネルギーに変えていますね。テレビであれば、リモコンの先から出ている赤外線とのエネルギーをキャッチし、電気信号にすることでチャンネルを変えているのです。
このように身近なところで私たちの生活をより豊かにしてくれている半導体ですが、実はワクワクするような研究も現在進められています。

動きも電流にしちゃおう!

たとえば、コンピュータゲームをしているとき、そのゲームの主人公になりきって体を動かしてみたいと思ったことや、テレビを見ながら映し出される世界の中を自由に歩いてみたいと思ったことはありませんか? それを実現するための研究のひとつに「ウェアラブルデバイス」というものがあります。これは、まるで服やアクセサリのように身につけられるコンピュータのことを指します。今、みなさんがこうしてこの文章を読んでいるパソコンはキーボードやマウスを使って操作していますよね。ですが、このウェアラブルデバイスは、たとえば手袋をつけた手を動かすことでコンピュータの操作を可能にすることができるのです。手の場合であれば、指の屈伸や筋肉の収縮などによる圧力を半導体に加えることで、電流の量を変化させ、電気信号を作り出します。

この技術が実用可能になり、コンピュータゲームに応用されれば、服のように着用可能なコントローラーになり、ゲームの主人公がプレイヤー自身と一体化して動けるようになるかもしれません。またテレビに応用されれば、映し出される世界を、自分を模した人物が自由に探検できるようになるかもしれません。

こんなふうに工夫次第でさまざまな働きをさせることができる半導体は、私たちの生活をより豊かで便利に、そして楽しくしてくれる可能性を多分に秘めています。みなさんも周りを見回してみてください。私たちの生活を支えるべく、たくさんの場所で半導体は今この瞬間も大活躍していますよ。
【文・川本 成美(リバネス記者クラブ)】

<参考文献>
1) 燦 ミアキ,大河 啓 監修.半導体.株式会社ナツメ社(1998)
2) 産業技術総合研究所 人体の動きを測定できるカーボンナノチューブひずみセンサー

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110328/pr20110328.html#b


本記事は、株式会社リバネスが配信するメールマガジン「リバコミ!」のサイエンストピックスを転載したものです。

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