PhDの見直し〜修復するか、抜本的改革をするか、あるいは完全にスキップするか

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Natureが紹介する、神聖なアカデミアを刷新する5つの取り組み

1.困難な状況に飛び込む

アカデミックポジションの数はほんの少ししかないのにそれを求める研究者が多すぎるのだから、大学院は本当に優秀な学生のみをほんの少数だけ入学させるべきである。さらに、独立性を育てることは非常に重要である。

例えば、アメリカとイギリスが共同で運営するあるPhDコースでは、イギリスとアメリカの大学院システムの長所を組み合わせたようなシステムになっている。300人もの志願者からたった12人しか合格させず、入学してからは、お決まりの授業はなく(アメリカでは最初の1年は授業を受けなければならないことが多い)初めから自分の研究テーマに取り組める。また、独立性を重視し、アメリカとイギリスに少なくとも1人ずつの指導教官を持ち、少なくとも一定期間ずつはその双方で研究をすることが決められている。学生は自分自身で研究プロジェクトを書き上げなければならず、なおかつ学位取得のためには自分が第一著者の論文が必要、などの規定もある(イギリスではこのような規定がない大学が多い)。

これまでの10年間で、このシステムで60人以上が卒業し、1人平均2.4報の論文(第一著者)を発表し、在学期間は4年程度であった(アメリカでは通常、7年)。80%が今もアカデミアで研究を続けており、6人が既にprincipal Investigatorである。

中には、たったの3年でPhDコースを終え、アメリカとイギリスに4人の指導教官を持ち、第一著者の論文を4報、総説論文を1報発表した学生もいた。

2.アカデミア以外で必要なスキルを学ぶ

ビジネスプランを書いたり、それをベンチャーキャピタリストにプレゼンしたり、マーケットリサーチをしたり、といった、トレーニングをする。

3.研究分野の境界を壊す

例えば工学、数学、コンピューターサイエンス、神経生理学などを組み合わせて、学際的な研究をする。実際にそういった学際的な研究をするプログラムで学位を取った学生は、多くの専門分野に渡るチームで働いたり、専門外の人たちと相互理解することが得意であることが調査からわかった。さらに彼らは、卒業後の職を見つけやすかった。

4.オンライン講座でPhDを取る

実際にイギリスにはオンラインPhDコースを設けている大学がある。学生たちは地元のラボで研究をし、2週間に1回、Skypeで指導教官と話すことになっている。

5.PhDコースに行かない

実際のところは、on-the jobトレーニングで十分でPhDまでは必要のない職が多いが、それでもPhDを持っているかどうかにより将来的な出世や報酬は変わってくることが多い。しかし、中には学位よりも実際の能力を重視する会社もあり、そういうところで働けば、5、6年もかかるPhDコースをスキップすることができる。

<参考リンク>
Education: Rethinking PhDs:Nature (2011) 472:280-282, 20 April 2011


本記事は、BioMedサーカス.com – 医学生物学の総合ポータルサイトの「最新研究動向」を転載したものです。

Creative Commons License photo credit: emdot

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