他人の意見に流されやすい人は・・・-米・ブラウン大学

人生は往々にして、都度都度の選択の連続だ。そんなとき、確固たる信念をもち、常に自分を貫き通せる人もいれば、ついつい他人の意見に左右されてしまいがちな人もいる。中には、自分の信念などはないけれど、敢えて言えば他人の意見には従わないことが信念だというただのへそ曲がりもいるかもしれない。

脳科学の観点から見ると、このような意思決定のパターンは、前頭前皮質と呼ばれる前頭葉前部の領域と、線条体と呼ばれる終脳の皮質下構造との関係性で説明できるという。線条体が、自分自身の経験に基づいた意思決定を行おうとするのに対し、前頭前皮質は、他人のアドバイスを受け入れ、それを意思決定に反映させようとするのだ。

この2つの領域は、ともにドーパミン神経の支配を受けていることから、ドーパミン代謝に関連する遺伝子(COMT)の型と意思決定のパターンになにがしかの相関があるかもしれないと、米・ブラウン大学のMichael Frank氏率いる研究チームは、ある実験を試みた。その実験では、70名以上の被験者について、各人の経験に基づいた意思決定が、他人から与えられたアドバイスにいかに影響されるかを定量化することができた。

その影響度は、被験者のCOMT遺伝子型と照らしあわされ、両者の相関が解析された。その結果、通常のCOMT遺伝子をもつ人に比べて、COMTタンパク質の158番目のアミノ酸がバリンからメチオニンに変化している変異型COMT遺伝子をもつ人は、より他人の意見に流されやすいことがわかった。この型の変異は、前頭前皮質のドーパミン神経に影響し、ドーパミン分解酵素であるCOMTタンパク質の酵素活性も3分の1から4分の1ほど低下することが知られている。

このような変異をもつCOMT遺伝子がある一定の割合で存在していることは、この変異による何らかのメリットを意味しているのだろうか?Frank氏らは、「他人の意見を聞かず、自分の経験だけからすべての意思決定を行うことは非効率であり、時には危険も伴う。より迅速に、効率的に意思決定を行うために、完全に他人の意見に依存するというやり方にも一定のメリットがあるのでは。」とコメントしている。他人の意見に流されやすいというと、とかくあまりいいイメージでは語られないが、実は他人のアドバイスを聞く耳をもち、それにより早く、効率的に意思決定ができるということだったのだ。

この結果は、『Journal of Neuroscience』の4月20日号に掲載された

(神無 久:サイエンスあれこれ

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