”コミュニケーションをとる”ナノ粒子 ― MIT

MITの研究者たちががんを効率的に補足する粒子を開発した。その粒子はお互いにコミュニケーションをとるという。

過去10年間、研究者たちはがん治療薬の副作用を抑えるために、がん細胞に直接届く化学物質を開発してきた。しかし、どんなにいいナノ粒子を使っても、わずか1%しか目標に到達していなかった。

今回、MIT、Sanford-Burnham Medical Research Institute、カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究者達のチームは新しいタイプの輸送システムを考案した。その考えでは、第1波のナノ粒子ががんに到達した後、より大きな第2波を呼び込み、がん治療薬を到達させる。このようにナノ粒子がコミュニケーションをとることで、マウスの実験ではがんへの治療薬の輸送効率は40倍になったという。

この新しい輸送戦略はがん治療だけでなく、ほかの疾患の治療にも役立つ可能性があるとGeoffrey von Maltzhan氏は言う。「これは、体内でコミュニケーションをとるようなナノ粒子が作れるということと、これらの性能はがん治療の効率を上昇させるということを示している。」

研究チームは免疫系のような、複雑な体内のシステムを利用してこの方法を考え出した。彼らが参考にしたのは血液凝固の仕組みだ。血液凝固では血管から出血が起こると、血小板が集まり、血小板をさらに呼び寄せつつフィブリノーゲンからフィブリンを作り出し損傷部分をふさぐ。

MITのチームはこの機構を活用するためにシグナル粒子と受容粒子という2種類の粒子を必要とした。シグナル粒子は第1波として働き、がん細胞近くの血管にある穴からがん細胞へと移動する。その後がん細胞に到着したシグナル粒子はがん細胞付近で出血が発生したと体に誤解させる。受容粒子はフィブリンと結合するたんぱく質に覆われていて、血液凝固が必要なところにひきつけられる。

マウスの研究では、この粒子は従来の粒子に比べ40倍もの抗がん剤をがん細胞に輸送した。さらなる臨床試験の道を開くために、MITの研究者は今すでに患者で試験される薬剤で、ナノ粒子システムが代わりに使用できないか模索している。

ナノ粒子を使った治療法はがん細胞を加熱して殺すKanzius RF 療法というものもあるが、やはりナノ粒子の安全性が議論になっている。

(櫻井博光)

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