新たなタイプの多剤耐性菌が発見される

¿Que me ves? / What!?

イギリスとデンマークで新たなMRSA(多剤耐性菌)が発見されたした。

この多剤耐性菌は乳牛の集団感染の検査をする研究チームが生乳を検査している際に偶然発見されました。幸い殺菌消毒が行われたため、人体に影響はないということです。しかし、研究者たちは別の事に頭を抱えています。それはこの多剤耐性菌が最新型のMRSA検査にひっかからなかったことです。この検査は”最新の”MRSAの遺伝子にも対応していて、ヨーロッパの病院で代表的に使われている検査法でした。

この研究は今のところMRSAのうち1%に新たな遺伝子変異が起きたことを示唆しています。「それは非常に小さいことに聞こえるかもしれませんが、疫学的観点から言えばとても重大です。」と主張するのはアイオワ大学のTara Smith氏、彼女はこの研究には参加していませんが「科学者や医療従事者、獣医師がこの株を研究する間、罹患者はおそらく多くなります。」と語っています。

MRSAは黄色ブドウ球菌が抗生物質に対して耐性をつけたもので、入院中の免疫の弱っている人などにとって脅威でした。最近では院内感染でのMRSAの感染は減ってきていますが、最近は医療関係施設外での感染が問題になっていて、医療施設関係者から皮膚伝いやくしゃみ経由でMRSAが運ばれる事例が増えているといいます。この研究は人と牛などの動物の間での多剤耐性菌の行き来が予想以上に多いと言うことも示唆しています。

ケンブリッジ大学のMark Holmes博士は「状況的に見て、牛がMRSAの媒介をしているのは明らかだ。しかし、牛から人にMRSAが感染するのか、それとも逆なのかはまだわかっていない。」と述べています。一方で、この多剤耐性菌の割合はMRSAの中で非常に少なく、感染する可能性は低い。それにこの新たな多剤耐性菌に対する抗生物質もできるので心配する必要はないという強気の意見もあります。

抗生物質と多剤耐性菌のいたちごっこの終わりは見えなさそうです。

(櫻井博光)

Creative Commons License photo credit: Davichi

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