食べてメタボを抑える!? フコキサンチンの効果


大学を卒業してから運動を余りしなくなったためか、お腹まわりが明らかに丸くなってきました。部活をしていた頃と比べて明らかに運動をする量が減っているにもかかわらず、食べる量が減らない。それでは肥満になるというのも当然というものです。しかし、そんなブクブク太るお腹に待ったをかけてくれるかもしれないアイテムに「フコキサンチン」があります。

肥満とメタボリックシンドローム

私たちは、体を動かすためや、機能を調整するためにご飯を食べます。しかしながら、日本では近年、食の西洋化に伴い肥満人口が増加してきました。メタボリックシンドロームをご存知でしょうか。これは、世界保健機関(WHO)で提唱され、今では日本でも診断基準が決められた症候群の名称です。「死の四重奏」と呼ばれる肥満、高血圧、糖尿、脂質代謝異常のうち、複数が該当することがその診断基準です。このメタボリックシンドロームに当てはまる人は、そうでない人よりも心臓病の発症リスクが約31倍も高いのです。また、日本において心臓や脳血管の異常により死亡する人数はおよそ毎年30万人、比率にして約30%と、がんと同程度の死因となっています。そのようなことからも、肥満を抑えることは重要であるといえるでしょう。今回は、それに一役買ってくれるかもしれない、「カロテノイド」という化合物の一種である「フコキサンチン」に注目してみたいと思います。

フコキサンチンって何?

フコキサンチンは、ワカメなどの海藻類に含まれるカロテノイドの一種です。分子を構成する原子の多くが炭素原子と水素原子で、他には酸素原子などが含まれています。代表的なカロテノイドであるb-カロテンは、分子構造の中央の炭素原子はC-C=C-C=Cで表される「共役二重結合」をしています。これに対して、フコキサンチンは「アレン結合」というめずらしい構造を持つことが知られています。これはC=C=Cと表される構造で、中央の炭素原子が両隣の炭素原子と二重結合をしています。天然に存在する化合物中ではカロテノイドにしか見られず、さらにそのカロテノイドの中でもめずらしい構造なのです。そのような結合に由来してか、はたまた偶然か、フコキサンチンは、がん細胞のアポトーシス誘導や、美白効果など、カロテノイドの中でも特有の生理活性を持つことがこれまでに報告されています。

食べて肥満抑制を!

このフコキサンチンをマウスに与えると、与えなかったマウスと比較して、肥満を抑制する効果が見られました。これは、フコキサンチンを摂取すると、余ったエネルギーを脂質として貯め込む白色脂肪組織中に、熱産生タンパクのUCP1がつくられます。このUCP1がつくられることにより、体内に余計に蓄積したエネルギーを熱として放出すると考えられています。本来はエネルギー蓄積の役割を持つ白色脂肪組織において脂肪の燃焼が行われることは、肥満抑制においては最も効果的と考えられています。

また、同様の実験で、血中の糖分量の減少が見られたことから、抗糖尿病効果もあると考えられています。発症例の多くが後天的でライフスタイルに要因するといわれている2型糖尿病患者の方は、このグルコーストランスポーターの活性が低下しているのです。このグルコーストランスポーターは、糖類のグルコース代謝を行ううえで重要な因子とされていて、フコキサンチンは筋肉中におけるグルコーストランスポーターの遺伝子を増やしました。

このように、フコキサンチンは、動物生体内で、抗肥満と抗糖尿病の働きをすることがわかっています。

最後に――食と健康について

私は、体型が極端に変化することは、とても怖いことだと思っています。病気は言うまでもありませんが、自分の風貌の変化に、自分自身で不安や嫌悪感を抱えてしまうかもかもしれません。しかしながら、適正体型のための継続的な運動、食事制限、薬の使用などは、さまざま制約がかかって難しいこともありますよね。だからこそ、体への負担の少ないであろう天然由来の物質で、効果的に体型や機能調節する物質がもっと見つかれば、と思います。

【文・加茂川 寛之(リバネス記者クラブ)】

<参考文献>
1) メタボリックシンドロームをご存知ですか. 立命館大学父母教育後援会だより[2005年夏号]
http://www.ritsumei.ac.jp/mng/gl/hoken/doc/2005s.pdf

2) 日本生活習慣病予防協会HP
http://mhlab.jp/calendar/seikatsusyukanbyo_01/2009/06/003682.php

3) 宮下 和夫. 海藻カロテノイド、フコキサンチンの多様性. 化学と生物.vol.46, No.7(2008)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/46/7/483/_pdf/-char/ja/

4) 中野 真寿美ら. 2型糖尿病の自己管理に関連した文献的考察:患者特性分類のためのアセスメントツール開発に向けて. 広大保健学ジャーナル. vol. 3(2003)
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/metadb/up/kiyo/AA11601063/JHSHU_3-1_1.pdf

5) 坂本 亘ら. 日本の「メタボリック・シンドローム」診断基準の統計的問題. 行動計量学. 35(2), 177-192(2008)
http://www.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/~sakamoto/metabo/metabo_paper.pdf


本記事は、株式会社リバネスが配信するメールマガジン「リバコミ!」のサイエンストピックスを転載したものです。

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  • やまんば@糖尿病

    フコキサンチン興味津々です。
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