超強力な虫よけ成分が発見される

Momentos antes de morir aplastado

よく虫よけ薬につかわれている化学成分DEET(N,N-ジエチル-m-トルアミド)は、米農務省が60年前に開発したものだが、長期にわたって使われているこの物質の1000倍もの効力をもつ物質が発見された。

この物質はVanderbilt大学の研究者達がマラリアを媒介する蚊の拡散を防ぐ研究の際に偶然発見したものだが、これは他の昆虫に対しても効果があった。
数年前まで、蚊が匂いを感知するしくみは哺乳類と同じ様に嗅覚受容体が標的分子と接触し、神経を介して脳に刺激を通知するものだと考えられていた。しかし、蚊の嗅覚は少し異なる方法で働く。後に蚊の嗅覚受容体はOrcoと呼ばれる共同受容体に依存していることが判明した。蚊の嗅覚受容体が特定の分子を発見すると、対応する受容体はアクティブになり、そのあいだ他の受容体は非アクティブの状態のままになる。Orcoはスイッチの一種として振舞い、脳にどの受容体がアクティブかを伝えることで分子を特定する。

この仕組みを妨害することで、従来よりも効果的な虫除け効果が得られるという。その鍵となるのがVUAA1という物質だ。
VUAA1は嗅覚受容体に別々に働きかけるのではなく、Orcoに直接働きかける性質をもつ。VUAA1は嗅覚受容体とOrco間の結合を刺激するが、これはすべての嗅覚受容体を同時刺激するのと同じことである。つまり、VUAA1が存在すると、蚊は同時にすべての刺激をうけることになり、血液などを嗅ぎ分けることが難しくなるのだ。
Vanderbilt大学の研究チームはVUAA1を改良して、虫除け効果とは関係の薄い部分を取り除こうとしている。また、環境や人に悪影響がないかより実験を重ねていく予定だという。
この物質は直接昆虫を殺すわけではないので、生態系に与える影響も大きくないだろう。VUAA1の虫除け剤が完成すれば、蚊の媒介する病気が拡大するのも防げるかもしれない。

(櫻井博光)

Creative Commons License photo credit: Gustavo (lu7frb)

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