福島第1原発事故、食用の野生きのこハルシメジは安全か?

そろそろハルシメジのシーズンだ。ハルシメジは、他のきのこが生えにくい時期と言うこともあって、似た毒きのこも少なく、優秀な食用きのこだ。そのため、春の味覚として親しまれている。

しかし、原発事故に近い地域などの、放射能に侵されているハルシメジについては、言うまでもなく不安が残る。
「屋外の植物や菌類が放射能に汚染されているという話はさんざん聞いた、なにを今更」と思われる方も多いと思うが、きのこに関しては、菌類ということもあって、野菜などの、通常の植物とは違う問題があることを、ぜひ多くの方に知っていただきたい。

まず、きのこは、ただ単に養分などの物質を吸収するだけではなく、特異的にある物質を蓄積・濃縮して、その身に蓄えるという性質がある。たとえば、ベニテングタケにはバナジウムを濃縮して蓄積する、アマバジンという物質が含まれている。なので、分量を同じにしていえば、野菜などより多量の放射性物質を含むことがありうるのだ。

そして、きのこには、栄養の取り方として、いくつかの方法がある。たとえば、木材から生え、木材を分解する、シイタケのようなきのこのは、木材腐朽菌と呼ばれる。また、樹木の根と共生関係を持ち、地中で植物とつながっていて、地上から生えるのは、菌根菌という。菌根菌は、チェルノブイリ事故の際の調査によって、放射性物質を吸収・蓄積しやすい性質があり、わずかな量でも高濃度の放射能物質をもつということが判明した、と小川真著「キノコは安全な食品か」という本にある。ハルシメジは、ウメなどバラ科の樹木と共生関係を持つ、まさにその菌根菌にあたる。だから、放射能に関する危険性はきのこの中でも、特に高いリスクがあるといえる。

しかし、ひょっとすると、「年に一度のことだから、どうしても食べなければ気が済まない」と考えている人がおられるかもしれない。ハルシメジは常食にするわけでもないので、少しくらいいいだろう、という考えもある。これに関して言うと、放射性セシウムはゆでこぼせば減る、と「キノコは安全な食品か」にある。だから、汚染が少ない地域に関しては、換気をよくして湯気を吸わないようにして、よくゆでこぼすという方法も考えられるが、本で紹介されたのはチェルノブイリ事故における日本での、放射性物質の汚染が微量の場合の対処法だ。だから、今回のような汚染地域の、高濃度の放射能に被ばくしたきのこの場合にも当てはまるかは、まったく不明だ。また、ややこしいのは、きのこによって、濃縮・蓄積する物質は様々だということだ。ハルシメジが実際にセシウムなどの物質を蓄積するかどうかは、筆者はまだデータを持たない。今、ハルシメジについての文献を探しているが、まだ見つかっていない。だから、これについては、一つの説であって、あくまでも自己責任でお考えいただきたい。

(堀博美/きのこライター 「きのこる キノコLOVE111」(山と渓谷社)執筆 http://spore.sblo.jp/)

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