ホントは怖い?自動水栓 – 米・ジョンズホプキンス大学病院

最近どこのトイレでも比較的目にする機会の多い自動水栓。蛇口がなく、手をかざすだけで水が出る。流しっぱなしや、閉め忘れもなく、水資源の節約にはうってつけだ。そればかりではない、不特定多数の人が触れることになる蛇口をなくしたことで、衛生的にも非常に良い・・・とされてきた。これまでは。ところが、つい先日、アメリカのダラスで行われた全米健康疫学学会総会において、ジョンズホプキンス大学病院の感染症専門医であるEmily Sydnor氏により、自動水栓に衛生面でのメリットはほとんどない可能性が指摘されたのだ。

Sydnor氏らは、2008年12月から2009年1月までの2ヶ月間、ジョンズホプキンス大学病院内のそれぞれ100個近くの手動水栓および自動水栓からサンプルを採取した。その中には、水貯蔵タンクを共有するそれぞれ20個のサンプルも含まれていた。当初は、院内の自動水栓が手動水栓と比べて衛生的に優れていることを確かめるのが目的だったのだが、その結果は予想に反して、全く逆の結果になってしまった。

手動水栓から採取された水75サンプルではその15%からしかレジオネラ菌が検出されなかった(それでもかなり多いという印象だが、日本の場合どうなのだろう)のに対し、自動水栓から採取された100以上の水サンプルでは、その約半数からレジオネラ菌が検出されたのだ。さらに、一般細菌数においても、手動水栓ではその13%が基準値を超えていたのに対し、自動水栓では26%がそうであった。この傾向は、水の貯蔵タンクや水の使用頻度とは関係なく、流路を塩素消毒した後でも、手動水栓が7%だったのに対し、自動水栓ではその29%で引き続き一般細菌が検出されたという。

Sydnor氏らは、多くの弁などの部品で構成される自動水栓の複雑な構造が、細菌繁殖の温床になっているのではないかと推測している。ただし、一般人はそれほど心配する必要はないかもしれない。検出された一般細菌やレジオネラ菌の数は、免疫力の衰えた入院患者には脅威となりうるが、健常人の免疫力では十分対処できるからだ。ただこれは、技術の進歩が必ずしも弱者を念頭に置いておらず、時には彼らに犠牲を強いることになるという典型とも言えそうだ。

ジョンズホプキンス大学病院では、この報告を受けて、院内のすべての自動水栓を手動水栓に取り替え中であり、現在建設中の新病棟で計画されていた、全水栓の自動化案も廃案となった。

(神無 久:サイエンスあれこれ

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