福島第1原発事故、レベル7評価に対する海外専門家の見解 – SMC

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4月12日、福島第一原発の事故に関して国際評価尺度のレベル7という評価が下った。これはチェルノブイリ事故と同等とされ、日本のみならず海外からも不安の声が上がっていた。このレベル7相当の判定に対する海外の専門家からの意見をまとめて提供しているのが一般社団法人サイエンス・メディア・センター ・(社)SMCだ。

マンチェスター大学疫学リチャード・ウェイクフォード客員教授やポーツマス大学環境物理学ジム・スミス准教授らは「現在までに放出された福島第一原発の放射性物質はチェルノブイリ事故のそれの約10%」とした上で、同じレベル7でも状況の違いを指摘している。

ジム・スミス准教授は状況の違いを以下のように語る。

チェルノブイリ事故では、事故発生から48時間が経過してから、地元住民に避難命令が出ました。原子炉が燃えている中、子どもたちは外で遊んでいました。また、ヨウ化カリウム錠も配布されてはいませんでした。チェルノブイリ事故の数週間後でも地元の人たちは放射性ヨウ素で汚染された牛乳や葉野菜を食べ続けていたのです。原発周辺の人たちの避難、食品の出荷禁止、そしてヨウ化カリウム錠の配布を実施したことにより、日本政府は福島原発事故の最悪の健康被害を阻止できたと思います。放射性ヨウ素の量も放射性崩壊によって急速に減少しています。現在の量は事故発生後に比べると約10分の1になっていると考えられます。

両研究者共に現在の福島については放射性セシウムが環境に残るため、出荷禁止などによる対策を数十年に渡って行ったりといった対策が必要との見解を示している。

また、原子力安全を専門とする英国セントラル・ランカシャー大学ジョン・ティンダル研究所のローレンス・ウィリアムズ教授は状況の変化が見られない中、レベル7に引き上げた原因を推測し「日本の当局は3つの原子炉と4つの使用済燃料プールをまだ完全にコントロールすることができておらず、このような保守的な行動を取ったのではないかと思います。」と語る。

一方で、英国安全政策 国家核安全団体 元メンバーのジョン・プライス博士はレベル7に引き上げられたという事実を以下のように説明する。

本日(4/12)、(国際評価尺度が)レベル7へ引き上げられました。これは昨日と比べて状況が悪化したことを意味をするものではなく、全体としてのこれまでの出来事が、以前まで考えられていた状況より深刻だという意味です。国際評価尺度(INES)レベルは状況の一瞬を定めるものでは無く、事故全体の定義を示すものです。ある意味これは非客観的であると思います。誰かが『これは大変深刻な事故だ』と発表したのではなく、もともとの(INESの)基準を上回ったのです。福島第一原発をレベル7に判定したINESに基づく評価は:『大気汚染の広がりや周辺住民の生活への深刻な影響が長期化していること』によります。放射線物質の放出は(地震発生翌日から)特に一週間の間で悪化しました。水素爆発の影響を含めて、事故から数週間たった今までの調査の結果が、今回のレベルの引き上げに繋がったと思います。

最後に、豪州ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT University)医学部医学放射線研究科のプラディップ・デブ博士によるレベル別の状況解説を引用する。

国際評価尺度(INES)レベルは地震の影響の大きさを人に知らせるような(主観的)尺度となっています。

レベル1:異常。このレベルは核施設内の安全部品、動作制限や低活性の放射線物質の紛失や盗難に対しての極めて小さな問題が発生した時に使われる。」
レベル2:レベル1の10倍相当の事故。被ばく総量が1時間で50ミリシーベルト以上。原発内で広い汚染。
レベル3:レベル2の10倍深刻な事故。施設内の被ばく総量が1時間で1シーベルト以上、広い範囲で汚染。一般人の被ばく率が低い。
レベル4:レベル3より10倍深刻な事故、施設周辺に影響。燃料の漏れか損傷により原子炉内に多くの放射性物質の送出。一般人の被ばく率が高い。少なくても1人が被ばくの影響で亡くなればレベル4と判定。放射性物質の送出量が低く、原発周辺の食料品管理が必要とされる。
レベル5:レベル4より10倍高い事故、広い範囲で影響。原子炉に大きな損傷ち大量の放射線物質が送出。一般人の被ばく率が極めて高い。被ばくによって数人が亡くなるか、計画放射線管理が必要とされる時に判定される。
レベル6:より広い地域への影響。レベル5の10倍の事故。大気に送出される放射線物質量が多く、計画的な放射線管理が必要。
レベル7:レベル6より10倍高い、大規模な事故。原発事故基準としては最悪。大量の放射線物質が大気へ送出され、国民の健康に影響を及ぼす可能性がある。長期的な放射線対策の安全プログラムの計画と実施が必要。

(これまで、福島原発は)「汚染レベルの最悪」とされているレベル5の事故だと宣言されてきました。今回の事故の全体的な状態を表すために、これまで放出された放射線物質の量を含めて、レベルが再分類されました。

Creative Commons License photo credit: holeymoon
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