福島第1原発事故、「死の灰」は北半球範囲の問題

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空気中を漂う放射性物質が落下したもの、通称「死の灰」の飛散は、福島第1原発の近辺の方だけの問題ではなくなっている。さらに言えば、もう日本中の、さらには世界の問題となっている。

スウェーデンやフランス,ドイツでは福島原発の爆発(3月12日に1号機, 13日に3号機,14日に2号機が爆発)の後,すぐに死の灰の飛散予測をネット上に公開した。日本の筑波の研究機関でも飛散の予測を行っていたようだが、何故か国民に公開していない。気象庁は、IAEAの要請により,測定データを提供していたようだが、国民に対しては隠していたようだ。今はサイトで一応公開されているが、外国のサイトの方が、ずっと詳細な情報を伝えているのは皮肉なことだ。

死の灰の世界への拡散を、フランス気象庁は3月19日と初期にネット上で公表していた。動画で見ることが出来るので、フランス語が出来なくても簡単に理解出来る。

そこでは、3月12日のデータが掲載されている。事故現場から、死の灰は太平洋に向かって空気中を漂っていき、太平洋を越え、北アメリカ、ヨーロッパを覆う。そして偏西風のはたらきで、ぐるっと回ってきて、西日本や太平洋南部を覆っていく。濃度が薄い場所も入れると、北半球を死の灰がほぼ取り囲んだ形だ。放射能の安全性・危険性は単純に距離だけではない。放射性物質の飛散には、風向きが大きな要因となっているのが分かる。

ついに4月12日、経済産業省原子力安全・保安院は、今回の事故を、原発事故の深刻度を示す「国際原子力事象評価尺度(INES)」の暫定評価を、「レベル5」から最悪の「レベル7」に引き上げると発表した。これは、チェルノブイリ事故と同様のレベルと言える。今回の事故は、先のフランスのデータを考え合わせると、とてつもなく大規模におよぶ放射能汚染となってしまったと言える。

事故のピーク時に比べて量は減ったとは聞くが、今もまだ、死の灰の拡散は続いている。

(堀博美/フリーライター http://spore.sblo.jp/)
Creative Commons License photo credit: Sverrir Thor

■関連リンク
東日本大震災:福島第1原発事故 政府、レベル7検討 – 毎日jp(毎日新聞)
福島第1原発事故・放射能汚染された野菜畑はどうすればよいか? | スゴモリ
上空から見た福島第1原発の事故の様子 | スゴモリ
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食物の放射性物質汚染についての研究者の見解 – SMC | スゴモリ

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  • 「動画を見ることができるので、フランス語が出来なくても簡単に理解できる」という一文は乱暴で、本質を理解していないと思う。
    動画で見られる北半球の大気の動きは正しいとしても、放出される放射性物質の濃度によって影響は異なる。
    例えば、絵の具を水に溶かすとして、多量なら濃すぎて下地の色が隠れるかもしれない。しかし、少量なら拡散し肉眼で見えないかもしれない。
    この可能性と放射性物質の実測値を伝えずに、動画とINESの暫定評価の格上げを伝えるのは、いたずらに不安感を煽るのみではないだろうか。