さりげなく、いろんなところにLED

最近、信号機のランプが「ブツブツ」しているように見えませんか。そのブツブツの正体は「LED」という発光素子で、消費電力が抑えられるという話や、寿命が長いという話を耳にします。そんなLEDは、どんな性質を持っているのでしょうか。

フィラメントが使われています

LED(Light Emitting Diode)は、日本語では発光ダイオードと呼ばれます。これまでの電球とは、電気を流したときの「光の発し方」が違います。
たとえば、白熱電球は、フィラメントと呼ばれる細い金属線が高熱になったときに発光する性質を利用しています。フィラメントは抵抗が大きいため、電流を流すと温度が激しく上昇します。それによってフィラメント中の分子の運動が活発になり、温度に応じた強さの光を発するようになるのです。このとき、熱のエネルギーが熱線を含んだ「光エネルギー」として放射されることから、この発光方式を熱放射発光といいます。点灯しているときの白熱電球が強い熱を帯びるのは、光とともに熱線が出ているからです。

蛍光灯もフィラメントを用いていますが、光り方は白熱電球と異なります。蛍光灯は、内側に蛍光塗料の塗ってあるガラス管の中に水銀蒸気が入っていて、両端にフィラメントがついた電極で蓋をしたかたちをしています。フィラメントには高温になると電子を放出する物質が塗布されていて、放出された電子が水銀蒸気にぶつかることで、紫外線が発生します。この紫外線がガラス管の蛍光塗料に照射されることで、白い光となって表に出てくるのです。
 

半導体が光ります

一方、LEDに使われているのは「半導体」です。半導体には、電気を通さない物質の中に不純物を混ぜた結晶が使われています。この物質の種類によってさまざまな性質を持ちます。不純物がもとの物質より電子を多く持っていた場合、その電子の持つマイナスの電荷が移動する「n型半導体」になります。逆に、不純物の電子が少なかった場合には、電子の足りないところにプラスの電荷を持つ「ホール」が生じ、このホールが移動する「p型半導体」になります。
また、使う物質によっては、電気のエネルギーを光のエネルギーに換える性質を持つ半導体になります。LEDは、この電気を光に変える半導体をn型とp型の2つの半導体で両側から挟んだ構造をしており、発光する部分のことを活性層と呼びます。電気を流すことで、電子とホールが間に挟まれた活性層の方へどんどん運ばれていきます。このとき、活性層の中でホールのプラスの力と電子のマイナスの力が引き合い結合することで、光のエネルギーが生まれるのです。
この光のエネルギーのうち15~20%が活性層の外に出ていき、残りのエネルギーは熱に変わります。これは、発光に熱を必要とする白熱電球が電気を8~12%しか光に変えられないのと比べると、およそ2倍になります。電気を直接光に変換できることで、エネルギーのロスを少なくすることができます。そのため、LEDは高い効率を得ることができるのです。そして、白熱電球は熱によってフィラメントが消耗してしまいますが、発光するのに熱が必要なため、熱を逃がすことができません。LEDは熱に弱いのですが、熱を外に逃すことによって一定以上の温度にならないようにできるため、長い寿命を確保できるのです。
また、LEDに使われている半導体は、イオン結晶の化合物を用いた化合物半導体といいます。さまざまな物質を組み合わせることができることから、活性層に使う素材によって、発光したときの色を変えることができます。たとえば、赤にはヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)、緑には亜鉛カドミウムセレン(ZnCdSe)、青色はインジウム窒化ガリウム(InGaN)といった化合物が使われています。単色で光らせることが容易で光の色を使い分けやすいことから、イルミネーションなど、光のデザインなどへも活躍の場を広げています。

どんどん広がっていきます

信号機にとどまらず、LEDはさまざまなところに使われています。パソコンや液晶テレビなど、液晶ディスプレイのバックライトもそのひとつです。みなさんがいつも持ち歩いている携帯電話の液晶のバックライトにも使われています。また、インターフォンなどに使われる赤や緑のランプもLEDです。LEDは微小な電流で発光するため、このようなさりげない使い方に適しています。また、水銀などの有害物質を使わないことから、環境への優しさも注目されているのです。

LEDは研究が盛んに行われており、今後さらに効率よく光ることが見込まれています。今後、白熱電球・蛍光灯に取って代わり、「明かり」といえばLEDになるほど浸透していくかもしれません。
【文・大久保 貴之(リバネス記者クラブ)】

<参考文献>
田口 常正 監修.白色LED照明システム技術と応用.CMC出版(2008)
2)谷腰 欣司 著.トコトンやさしい発光ダイオードの本.日刊工業新聞社(2008)


本記事は、株式会社リバネスが配信するメールマガジン「リバコミ!」のサイエンストピックスを転載したものです。

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