「ゲイの洞窟人」、発見される?

4月6日付けテレグラフ紙の記事によれば、チェコ共和国の首都プラハの郊外で最近発掘された、紀元前2500-2900年頃の男性がゲイ、もしくは特別な性別だったのではないかと話題になっている。というのも、その埋葬法が当時の男性の埋葬法と大きく異なるものだったからだ。

この時代、通常男性は、身体の右側を下にし、頭を西の方角に向けて、女性は逆に身体の左側を下にし、頭を東に向けて、両者とも屈んだ状態で埋葬される。また、男性は武器や食料などと共に埋葬されるのに対し、女性は装身具や水差しなどの日用品と共に埋葬されたそうだ。

ところが、この男性は、女性同様に身体の左側を下に、ただし頭は男性式に西に向けて埋葬されていたという。また、埋葬品の中に、武器や石器の類は全く見当たらず、代わり女性の墓でしか見つかったことのない水差しがあったというのだ。当時は、埋葬儀式の厳格な時代だったので、単純に埋葬法を間違えたとは考えにくいという。

この話は、発見した研究者らによる記者会見をもとにしており、瞬く間に世界中のメディアの間を駆け抜けた。ただ、話を面白くしようとし過ぎたメディアは、少し先走った、そして一部間違ったニックネームを、この発掘された男性につけてしまったようだ。”gay caveman”「ゲイの洞窟人」。

これに対し、米ウイスコンシン大学の人類学者John Hawks氏や、米ノースキャロライナ大学の生物人類学者Kristina Killgrove氏、米カリフォルニア大学バークレー校の人類学者Rosemary Joyce氏らは、自身のブログで、この安易なネーミングに猛反論している。彼らの意見は一致して、この発掘された男性がゲイかどうかは、この発見が査読論文として発表されていない以上、はっきりと断定されたわけではなく、ましてや、この男性が発掘された辺りには洞窟などひとつもないとのことだ。

確かに、Daily Mail以外のどのメディア記事も、明らかに洞窟の中には見えない実物の写真を掲載してはいない。視聴者の関心を引くためにある程度「話を盛る」ことは仕方ないことかもしれないが、やっぱりウソはダメでしょう。

(神無 久:サイエンスあれこれ

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