高級きのこ・ショウロで松林を再生、和歌山県林業試験場

ショウロとは、直径2~3センチの球形をした、クロマツの根と共生するのが特徴のきのこだ。若いものは白く、食用になる。お吸い物に入れたりして食べると香りが高く、日本では古くから珍重されてきた。
しかし、近年、ショウロが生えにくくなってきてしまった。開発が進み、松林の状態が悪くなり、それに伴ってショウロも減ってしまった。今では、天然のショウロは非常に高級なものとされている。

和歌山県林業試験場は、松林の状態を良くするために、このショウロが有効なのではないかとした。ショウロはクロマツからアミノ酸や糖類などの養分をもらい、逆にクロマツに水分とミネラルなどを与えて共生している。こういったきのこを、菌根菌という。そこに着目し、ショウロを人の手で生やしてやることによって、松林が再生するのではないか、と考えた。

 そこで、5年計画で、和歌山県白浜町中区の住民らと協力して、松林の保全に取り組み、住民が腐葉土の除去や落ち葉かきなどショウロが生えやすい環境を整えた。そして、2009年2月から毎年ショウロが生えるようになるなど、確かな成果を上げてきた。

同試験場では、これと並行して、松林でショウロ菌を定着させるため、ショウロ菌を付けたクロマツの苗木をポットで栽培し、松食い虫に強い抵抗性のあるクロマツを選んで、和歌山県内産のショウロが溶けた胞子液、培養した菌糸を使って、接種方法や根の処理方法、土などをさまざまに変えて実験してきた。条件がそれぞれ違う11種類の苗木をポットで約1年間育て、試験地に植栽して観察してきた。この結果、2010年11月に、初めてショウロが発生した。その後も次々と発生が確認されている。最も発生量が多かったのは、クロマツの根を洗浄・剪定して殺菌砂に植え、胞子液をかけたものであった。

同試験場では「特殊な技術を必要としない育苗方法の開発で、誰でも簡単に利用できるようになる。さらにショウロが健全度の指標となって保全活動に弾みがつく」としている。

(堀博美/きのこライター 主著「きのこる キノコLOVE111」(山と渓谷社))

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