中国の奇病~致死性ウイルス特定される

 

Viral DNA


発熱を伴う血小板減少症候群
(SFTS)と呼ばれる奇病が、中国で確認されたのは2006年に遡る。安徽省に住む村人たちが、高熱、腸管出血、血小板の減少などで次々と死に始めたのだ。中国の疾病対策センター(CDC)は、当初ヒト顆粒球アナプラズマ症(HGA)を疑った。ダニによって媒介される細菌Anaplasma phagocytophilumが原因で起こる病気だ。しかし、患者の身体からは、その細菌に対する抗体はおろか、DNAの断片すら見つけ出すことはできなかった。そうこうしているうちに、SFTSは毎年5-6月の時期になると中国の6つの省で、感染者の30%を死に至らすほどの猛威を振るい始めた。

2009年12月、米テキサス大学医学部ガルベストン校に所属する、ダニ感染症の権威Xue-jie Yu氏は、SFTS患者の血液中から、ブニヤウイルス科フレボウイルス属の新種を発見した。これは、中国CDCに招かれて、一時的に滞在していた期間の成果だった。当初、Yu氏の主張するウイルスの関与に一切耳を貸さなかった中国CDCも、この成果を受けて、翌年2010年の春には、241人中171人の患者からフレボウイルス属の新種と思われるRNAと抗ウイルス抗体を検出し、さらに同年夏には11種の新種を単離した。当初両者は発見の優先権を争っていたが、中国厚生大臣のとりなしもあり、今回の成果を晴れて共著として本年2011年3月16日に『The New England Journal of Medicine』から発表した(購読無料)。その中で彼らは、このウイルスをSFTSブニヤウイルスと命名した。

(神無 久:サイエンスあれこれ

Creative Commons License photo credit: EMSL

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