言葉がなくては数えられない-米シカゴ大学

project 365: day 227

被験者のひとりは、40-50代の、どちらかといえば上品なご婦人といった風情だ。彼女は、生まれつき耳が聞こえず、言葉はおろか正式な手話すら習ったことのないニカラグア人だが、仕事を持ち、消費生活を送り、健常人の友人にも恵まれたごく普通の生活を送っている。同様の境遇の仲間たちとはホームサインと呼ばれる、自分たちだけの独自の手話でコミュニケートする。彼女らが、今回の実験の被験者だ。

米シカゴ大学の心理学者Elizabet Spaepen氏は、被験者の手を何回かノックし、その数だけお盆からチップを取り出し、机の上に並べるように指示する。被験者が正しい数を並べることができたのは、Spaepen氏が3回ノックしたときまでだった。4回ノックしたときは3つのチップを、6回ノックしたときは4つのチップを並べた。そう、被験者は4つ以上の数を正しく数えることができなかったのだ。

どうやら人間は言語がなくても、2つと3つといった小さな数の区別や、10個と20個といった大雑把な数の区別はできるが、10個と12個といった細かい区別となると、それを表現できる言語が必要ということのようだ。数の概念までを独自のホームサインで構築することは、数学の一体系を初めから構築するに近い行為なのだ。そもそも10進法という区切りを知らなければ、正確な数を区別するのに、無限の数の単語が必要ではないか。大雑把にならざるを得ないのである。この研究成果は、アメリカ科学アカデミー紀要の2月7日付オンライン版に掲載された

(神無 久:サイエンスあれこれ
Creative Commons License photo credit: erin MC hammer
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