さ〜て今週のサザエさんは?「サザエ、溶けてしまいそう」

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サザエさんをトイレ用洗剤で洗うと一皮むけたいいサザエになる。真珠のお肌だ。表面が溶けて真珠層が現れる。調子に乗って溶かしていたら、サザエの殻がボロボロに溶け崩れた。その様子に古いホラー映画を思い出した。

 「私、脱いでもすごいんです」なんてCM、覚えている人も少ないだろうけども。サザエの身を殻からぐりぐりと引き出すと黒い内臓はいかにもで、脱ぐとすごいな、サザエ。横で見ていた保育園児の息子は渦を巻く内臓にウエーッと顔をしかめた。食べる前から好き嫌いするなよ、とつまんで口に入れてやった。息子は神妙な顔でひと噛みしたが、すぐに吐きだし「お水をのみたいです」と頭を下げた。そんなサザエだが、殻も1枚脱がすとすごいのだ。中学生のニキビ面よりも凸凹した殻の下には真珠色の美肌が隠れている。

 漂白し、水洗いしたサザエの殻は赤茶色だ。そこにトイレ用の酸性洗剤をかける。実験手順には<気体が発生するのでしばらく待つ>とあったが、なんですか、これ! と助手が叫んだ。
「めちゃめちゃ溶けてますよ!」
 気体が発生する、なんて冷静な状態ではない。振り回したビールのようにサザエの殻から盛大に泡が噴き出している。……オジサンが中学生の時だけど良い映画があってね、雨に打たれた人間がずるっずるに溶けてしまう「魔鬼雨」というホラーなんだけどさ、人間がアイスみたいに溶けるんだぜ。あとね、「吐きだめの悪魔」って知ってる? 人間が溶けてトイレに流れるやつ。
「知りませんよ」
 ポニョもさ、あれは人魚だろ? 草介にフラレたら溶けるんだろうねえ、こんな風に。
「楽しそうですねえ」
 うん、楽しい。いいよね、溶解。

 いつ泡が収まるだろう? とりあえず1時間ほど放っておいた。1時間後、サザエはピッカピカの真珠色に変わっていたが……穴?……あ。大変だよ、助手くん! 殻が溶けてボロボロ、キミの軽自動車みたいなことになっているよ!
「失敬な、ここまでボロボロじゃないっすよ」
 息子に、こういうのを作った、と穴のあいた失敗作のサザエを渡した。子どもは真珠色の殻にウワーッと喜んだが、しばらくしてサザエの殻が変形も合体もしないことに気づくと歌うように
「こ〜わしてい〜いですか?」
 壊す? なんで? あ、投げた。あ、踏んだ。道路でガッツンガツンと殻を踏みつけ、白骨のように四散した殻の残骸をニヤリと笑う4歳児。親として彼の中に隠れている何かが不安である。

原理:カルシウムを塩酸で溶かす

囲みイラスト用参考画像
 サザエの真珠層は炭酸カルシウムの薄い結晶がコンキオリンというたんぱく質によって結合されたもの。塩酸によって表面を溶かすと真珠層が現れるとともに表面がぬるぬるになる(だから歯ブラシで磨くわけだ)が、これは炭酸カルシウムが溶けた後にコンキオリンだけが残されたためだ。それがいく層にも重なっているため、各結晶層で反射した光が干渉して真珠の色合いを出すのである。
 トイレ用酸性洗剤に含まれる塩酸とサザエの殻を作っている炭酸カルシウムが反応、炭酸ガスを出しつつ塩化カルシウムに変化して溶けだす。表面のゴツゴツが溶けると下の真珠層が現れるのだ。溶かし過ぎには注意を。

化学式は以下のとおり。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + CO2 + H2O

手順

01 材料:サザエ・塩素系漂白剤・トイレ用酸性洗剤・歯ブラシ・バケツ・手袋
01_MG_1820

02 表面の汚れを取るため、サザエを塩素系漂白剤に1日漬けておき、その後、よく水洗いする。
02_MG_1844

03 洗ったサザエをトイレ用酸性洗剤に漬けると盛大に炭酸の泡が出る
03_MG_1885

04 歯ブラシで磨き、真珠層を露出させる
04_MG_2016

05 1時間漬けていたらボロボロに。10〜15分漬けたら磨き始めよう
05_MG_2049

(サイエンスライター 川口友 万)TBS系『飛び出せ!科学くん』でも紹介、さらに詳しい実験の様子は『
あぶない科学実験』(彩図 社・税別1,200円)

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