文明の利器の裏側に、どうして携帯電話は声を届けられるの?

私たちが携帯電話を誰かにかけるとき、当たり前ですが話す相手はその電話の向こう側にいるのであって、私たちの目の前にいるわけではありません。声が届かないところに声が届くなんてとっても便利な機械ですね。でも、糸でつながっているわけでもないのに、いったいどうやって音を届けているのでしょうか。

携帯電話が伝えるデータは1と0でつくられる

私たち人の声は空気を伝わる波、音波です。携帯電話はまずこの音波を電気的信号に変えます。はじめは音声を電流や電圧の強弱に変えるアナログ信号に、さらにそれを1と0のように非連続の値によって表すデジタル信号に変え、電波にのせて相手の電話機に伝えます。そして相手の携帯電話がこの信号を声として変換しているのです。

図1

ひらがなの「あ」という文字を考えてみましょう。「あ」は、日本でよく使われるシフトJIS漢字コードという規格で表す場合、「0100001010100000」というデータとして扱われます。今日はこのデータを、送信するためのデータに実際に書き変えてみましょう。

データ3分クッキング

以下の6つの作業を通して、「あ」である「0100001010100000」を送信するためのデータに変換してみましょう。
①2つずつに数字をくくる。
図2
②3つめまでのブロックには、それぞれに0を新しくつけ足し、3文字で1ブロックとする。

図3
③4つめ、5つめのブロックは、そのブロックから数えて3つ前のブロックの2番目の数字を新しくつけ足し、3文字で1ブロックとする。
図4
④6つめのブロックは、そのブロックから数えて3つ前と5つ前のブロックの2番目数字を足して、その1の位の数値を加えて3文字で1ブロックとする。
図5
⑤7つめのブロックは、そのブロックから数えて3つ前と5つ前のブロックの2番目の数字、6つ前の1番目の数字を足して、その1の位の数値を加えて3文字で1ブロックとする。
図6
⑥8つめのブロックは、そのブロックから数えて3つ前と5つ前のブロックの2番目の数字、6つ前と7つ前の一番目の数字を足して、その1の位の数値を加えて3文字で1ブロックとする。
図7
これで送信データは完成です。
図8
今回、変換した方法は地上デジタル放送や携帯電話など、私たちの身近にある通信機器でよく使われる「たたみ込み法」という変換方法の1種、「岩垂法」という方手法です。実際には他にも複数の方法を組み合わせて送信するデータはつくられています。はじめの「あ」のデータと比べると、ずいぶん長くなってしまっています。いったいどうしてもとの「0100001010100000」のまま送信しないのでしょうか。それは、データを送る物理的な面での問題を解決するためなのです。

波という性質をもつ

情報を乗せている電波とは、読んで字のごとく電気的な波で、声などの音波と同様の性質を持っています。たとえば、私たちが普段人ごみで会話をするとき、周りの人の言葉や、ほかの人のからだに遮られて、声がうまく聞こえないことがありますね。電波も空気中を進んでいくうえで、ほかの電気の影響や、宇宙線、熱などに邪魔され、伝わるデータに誤りが生じてしまう事があります。送信機は声を正しく伝え、受信機も伝わってきたデータをそのまま受け取ったとしても、もしその両者がかかわっていない間に変化してしまっていれば、私たち使用者は正しい言葉を受け取ることはできないのです。私たち人間であれば、多少正しく聞こえない部分があっても、ある程度はそれまでの会話の内容から予想することが可能でしょう。ですが、携帯電話のような内容を理解できない機械の場合、予測不可能uな間違いを、いったいどうやって見つけ、さらには正しい内容に訂正するのでしょうか?
この真相は次回明らかになります。
【文・川本 成美(リバネス記者クラブ)】

<参考文献>
1) 岩垂好裕著.符号理論入門, 昭光堂 (1992)
2) 情報理論とその応用学会 編,情報理論とその応用シリーズ3符号理論とその応用.培風館(2003)
3) 瀧保夫 著.情報論Ⅰ.岩波書店(1978)


本記事は、株式会社リバネスが配信するメールマガジン「リバコミ!」のサイエンストピックスを転載したものです。

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