食物アレルギーの原因を解明-米ジョンズホプキンス大

Eibe: Männliche Blüten
食物アレルギーをもつ人でも多くは、そのアレルギーの原因となる食べ物を嫌いなわけではない。食べられるものなら食べてみたいと思っている人も多いのではないか。それでも食べずに済むものならまだいいが、日本人の間でもアレルギー原因食品の第3位にランクされる小麦などは、どちらかというと主食である。欧米人ほどではないにしろ、主食としてのパンなどが食べられないのはきつい。これまでは、食物アレルギーを避ける最良の手段は、その食べ物を食べないことだったが、どうやらもうそんな我慢をしなくてもいい時代が来るかもしれない。

一般的に身体の免疫システムは、外からやって来たあらゆる異物(細菌、ウイルス、花粉、化学物質など)を認識して、それを排除しようとするのであるが、同様にある意味異物である食べ物には反応しない。これは、口から消化器官に入って来た異物に対しては、不要な免疫反応を起こさないような仕組みがあるからだ。

このような仕組みのことを経口免疫寛容という。この仕組みがうまく機能しないと食べ物が異物として認識され、免疫システムがこれを排除しようと活性化してしまう。これが食物アレルギーだ。つまり、食物アレルギーは、この経口免疫寛容という仕組みが壊れることによって生じる病気なのだ。とすると、この経口免疫寛容を成立させるメカニズムが分かれば、一度壊れた仕組みを復活させることができるかもしれない。

昨年、米ジョンズホプキンス大学の研究チームは、医学雑誌『Nature Medicine』に掲載された論文の中で、まさにそれを明らかにした。彼らは、腸の中で免疫反応を司る樹状細胞と呼ばれる細胞の表面に存在するSIGNR1というタンパク質が、経口免疫寛容を成立させる鍵をにぎることを突き止めた。そのSIGNR1を通して樹状細胞を刺激すると、それまで人為的な食物アレルギー症状を呈していたマウスの経口免疫寛容を復活させ、その症状を軽減することができたと報告している。

ただし、注意しなくてはならないのは、今回の結果があくまでもマウスでの結果だということだ。ヒトにもSIGNR1と同じタンパク質があることはわかっているが、マウスと同じ働きをしているかどうかは、まだわかっていない。

食べたいけれど食べられないものを、食べられるようになるのにはもう少しの辛抱が必要のようだ。

(神無 久:サイエンスあれこれ

Creative Commons License photo credit: to.wi
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