燃える電子レンジ!火の玉、誕生

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電子レンジがすっかり焦げてしまいました。恐ろしいことです。火がボワーッとなって、庫内の天井にドバーッとスライムみたいに張り付いて、レンジの中は焼き芋の皮よりも真っ黒に。自分の家の電子レンジじゃなくて本当に良かった。今回は電子レンジでつくる火の玉だ。

火を電子レンジで加熱すると火の玉ができる。へえ〜そうなの? 電子レンジはマイクロ波で分子を振動させて加熱するわけで、それで火を振動させると火は不安定だから分子がバラバラになって、(あ、プラズマか)早稲田大学の大槻教授が研究しているやつ。まさに火の玉だ。やってみましょ。04

他の編集部で夜食をあたためている電子レンジを見つけた。こっそり持ってきた。韓国はサムスンの電子レンジ500Wだ。YouTubeの映像に従い、庫内の中央に火をつけたマッチを立て、ガラスの瓶で蓋をして加熱。10秒……20秒……おかしい。何も起こらない。電子レンジの加熱用マグネットは天井側についているから、もっと火を天井に近づければいいのか? 粘土で台をつけて高さを調節する。うまくいかない。すぐに火が消える。


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イライラしてきた。あれなんじゃないの、サムスンだからじゃないの? やっぱナショナルのエレックさんじゃないとダメなんじゃないの? とっちゃえ、ガラス瓶。マッチを天井ぎりぎりまで近付ける。これでどうだ? 加熱するとボッ、ボッと断続的に炎が大きく燃え上がり、電子レンジの中はオレンジ色にまばゆく輝いた。巨大化した炎が生き物のように動き回る。これだよ、これ、何だよやればできる子じゃないか!
「……あ、」
燃え上がった炎は塊になって庫内の天井に溜まり、渦巻いた。これ、マズイんじゃない? ウーウーカンカンカン! 偶然にも外から消防車のサイレンが。
「やばい、消せ!」
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慌ててスイッチを切り、戸を開けると煙とともに中は真っ黒、燃えた匂いで部屋中が臭い。よく見れば天井のプラスチックがものの見事に溶けて、金属が露出している。

溶けたのは2カ所のマグネット部分で、電磁的に不安定なプラズマは電子レンジの磁界に引き寄せら……どうしよう、このレンジ? 燃えたよ? 燃え尽きちゃったよ?
ドアの外から通りすがりの女の子たちの声がした。
「あれ、花火やったの誰?」
それは僕たちです、とは言えず、黙って足音が遠ざかるのを待ったのだ。

原理:火の玉の正体はプラズマ

プラズマ原理
物は原子から出来ている。普通は原子の周りには電子が回っているが、その電子が引っぺがされ、原子と電子がバラバラに飛び回っている状態をプラズマという。プラズマは固体や気体に熱とか磁力といった力を加えると生まれる。蛍光灯はプラズマの発光で、炎もプラズマの一種だ。プラズマである炎を電子レンジで加熱するとさらに多くの電子が原子からはがされ、激しく飛び回る。それが火の玉の正体だ

ちなみに、この実験の様子は以下から確認できる。

(サイエンスライター 川口友 万)TBS系『飛び出せ!科学くん』でも紹介、さらに詳しい実験の様子は『あぶない科学実験』(彩図 社・税別1,200円)

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