言語の系統解析

言語の進化は、ある意味生物の進化と似たところがある。民族が移住などで分断されると、以降独自の発展を歩んだり(放散進化)、起源の異なる言語間でも文法の基本が似ていたり(収斂進化)、地理的に近いか、人的な交流が頻繁にあれば言語間で語彙の貸し借りが起こったり(遺伝子水平伝播)という具合だ。そして言語の系統樹を書くにあたっても、生物のそれと同様、言語(生物)間の類似性の中から、語彙(遺伝子)の水平伝播による寄与を区別する必要がある。

今回、研究者らは、インド・ヨーロッパ語族に属する84の言語の系統関係を明らかにするために、それらの言語間で同一語源が疑われる、つまり意味も綴りもよく似た2346単語を選び出し、その中に水平伝播によるものがどれほど含まれているのかを調べた。その結果、61%にあたる1373単語が水平伝播によるものだとわかった。この中には、すでに水平伝播によることが明らかになっていた124単語のほとんど(94%)が含まれていたことから、その検出に使われたアルゴリズムの正しさが裏付けられた。

こうして最終的に作られた言語の系統樹(写真)は、各言語の基本単語のうち平均8%が語彙の水平伝播、すなわち貸し借りによって取り込まれたものだと判明した。この数字はこれまで考えられていた以上に、語彙の貸し借りが頻繁に行われてきたことを意味しているという。この研究成果は、英国王立科学アカデミー紀要Bの11月24日付けオンライン速報版に掲載された(購読無料)。

(神無 久:サイエンスあれこれ

■関連リンク
Networks uncover hidden lexical borrowing in Indo-European language evolution — Proceedings B

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