男らしさの代償

Love on Tehran`s Roof

人間社会は必ずしもそうではないが、動物の社会ではもてるオスの基準はひとつだけだ。いかにけんかが強いか。オスたちは、その強さに従って明確な序列を与えられ、その序列に従ってメスを選ぶことができる。ところが最新の研究結果によれば、オスはその強さと引き換えに、ある重要なものを失ったのだという。それは一体何だったのだろう。

オスの力の源泉は、男性ホルモンだ。これが多いほど、攻撃的になり、強くなれる。一方で、男性ホルモンには、がんにかかりやすくしたり、免疫力を低下させたりする負の働きが知られている。これが、序列に影響することはないのか?そこで研究者らは、この男性ホルモン量と強さの序列、免疫力の間の関連性を、ウガンダ国立公園に生息する22匹のオスのチンパンジーを使って調べた。彼らは、せっせとチンパンジーの糞を集め、そこに含まれる男性ホルモンの量と寄生虫の数を測定したのだ。寄生虫の数は、免疫力の指標だ。

すると、強さの序列が高いオスほど、多くの男性ホルモンが検出されたが、同時に、寄生虫の量も多かった。オスが男らしさの代償として失ったのは、やはりその免疫力だったのだ。ただ、それでも序列の上位に君臨できることは、男性ホルモン量以外の要因が、そのオスの免疫力の低下を別のかたちで補完していると考えられる。結局メスはケンカに強いオスを選ぶことで、(男性ホルモンが多いため)精力が強くかつ(その代償である)免疫力低下の影響が少ないオスを選んでいることになる。やはり最後に笑うのは、女性なのかもしれない。

(神無 久:サイエンスあれこれ
Creative Commons License photo credit: mohammadali
■関連リンク
BioPsychoSocial Medicine | Abstract | The costs of dominance: testosterone, cortisol and intestinal parasites in wild male chimpanzees

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