バカと暇人のアメーバ vs.炎上メディアJ-CAST
2冊の炎上論が続けて上梓された。「ウェブはバカと暇人のもの」の中川淳一郎さんの3冊目の著書「ウェブを炎上させるイタい人たち」と、J-CASTニュース発行人である蜷川真夫さんの「ネットの炎上力」だ。中川さんは、一貫して「ウェブはバカと暇人のものである」という主張を繰り返し、IT礼賛論に否定的な意見の持ち主である。蜷川さんは全く逆で、ウェブで形成される世論が日本を二分させていると説く。「現代の日本においては、2つの世論が存在している」という主張だ。
中川さんの本は3冊とも読ませてもらっているが、1冊目から進化がないのが残念だ。本書の主張は「素人がmixiで日記を書いたりTwitterでつぶやいたりするのは愚の骨頂。IT信者に騙されるな」に尽きる。短い期間に立て続けに出版されたので無理はないと思うが、1冊目をもっとネットの言論界にオープンにすれば、2冊目、3冊目がより充実した内容になったのではないかと思う。「ネットに無視された」のではなく「誰も気付かなかった」というほうが正しい。中川さんがロスジェネ世代でかわいそうな人だということは伝わってきた。
蜷川さんは、既存のメディアとWebのメディアは全く別物であり、既存のメディアに「寄生」して生き永らえるのがWebメディアの特徴であり、既存のメディアが壊滅したら、ネットに流れる情報はなくなってしまうのではないかという危機感を持っている。だから、本書では自分の出身母体である新聞に、再生の提案を投げかけている。リアルメディアが流す一次情報が、ネット住民のコメントによって付加価値が与えられ、ニュースソースとして再び利用されるという流れは、Webニュースメディアの本流となっていくだろう。
両者とも共通しているのは、匿名掲示板の2ちゃんねるは「マトモ」だということである。マトモじゃない人間たちがクローズアップされるから、2ちゃんねるはとんでもない悪の巣窟だと思われているところがあるが、2ちゃんねるに集積された集合知は、今や誰も無視することができない。非常に影響力のある「メディア」に成長したといえる。ただし、中川さん流に言うと、「ネットはリアルに全く影響を与えない」から、「ネットの中で影響力のあるメディア」と言い直したほうがいいかもしれない。
■関連リンク
・ウェブを炎上させるイタい人たち-面妖なネット原理主義者の「いなし方」 (宝島社新書)
・ネットの炎上力 (文春新書)
・ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)
・おい中川淳一郎。ちょっと待て。何だそのクソサイトは: 切込隊長BLOG(ブログ) Lead‐off man's Blog
・創刊のご挨拶 (1/2) : J-CASTニュース
・文春が「常識破りの冒険」 ネットで新書「無料公開」 (1/2) : J-CASTモノウォッチ
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